視点を変えて
2020.2.1
今回新しく開設したホームページでプロのカメラマンさんにすごく素敵な写真を撮影していただきました。撮影時にいろいろとお話をした中で、カメラマンを本業にしつつも、村おこしに携わっているということを知り、いろんな課題をお持ちでしたので、「それは行くしかないでしょ!」ということで、秋晴れが心地よい昨年11月に現地へ足を運びました。場所は、人口895人(平成27年10月国勢調査)の奈良県下北山村。電車が走っているわけでもなく、高速道路があるわけでもなく、バスの場合は、アクセスも本数も限られています。自宅のある生駒からは自分の車を運転していくしかなく、到着まで約3時間。第一印象はとにかく遠かったです。
「迎える」ではなく「出ていく」
彼らが今目指していることは、自伐型林業(採算性と環境保全を高い次元で両立する持続的森林経営)で村を盛り上げていきたいということです。全てを伐採するのではなく、山に道を作ってその道沿いにある木を伐採していくということです。土砂災害などの被害を減らせるというメリットもあるようですが、それらの木をどうするのか。何らかのブランド性や価値をつけていかないといけませんし、ここに人を呼びたいということです。月に何度も通える距離ではありません。年に一度程度なら大きなイベントで人を迎え入れることは可能と思いますが、迎え入れるというよりは、外に出て、その魅力を村外で発信する活動に重点を置くのもいいのではないかと思いました。
視点を変えて
村おこしとして林業を盛り上げていきたいということでしたが、一旦林業から離れてみて、こういうのはどうでしょうか。下北山村といえば、ブラックバスのメッカ「池原ダム」があります。バスフィッシング人口を調べてみると、国内市場は300万人、経済効果は1000億円。一方米国では、市場1500万人、経済効果1兆2000億円ということです(長野大学ゼミ資料より)。国内を対象とするのではなく、海外からバス釣りを目的に来てもらえる仕組みをつくる。もちろんアクセスは重要ですので、飛行場を作ってプライベートジェットを着陸できるようにするというのもいいかもしれません。国内では、ブラックバスを経済魚として活用している成功例は、野尻湖や琵琶湖にあるので、村おこしという意味では、それらを参考に下北山村の池原ダムで検討するのも一つではないかと考えます。「新しいこと」を生み出す時に、人はどうしても自分の目の前にあるものや過去の経験に縛られた状態で考えてしまう傾向にありますが、成功例があればどんどん参考にすること、そして少し視点を変えてみるということも大切かもしれませんね。
撮影/都甲ユウタ