経営者の発想を大切にする UTC(旧 打越会計事務所 UCHIKOSHI ACCOUNTING FIRM)
日々のこと

空気を読む

2020.7.16

この本を手にするのはいつぶりでしょう。会社の書籍保管倉庫からの1冊です。山本七平著書の「空気の研究」。
「空気支配」について書かれているのですが、空気を読むことで生まれる弊害について書かれています。
「空気を読む」というのは日常に多々ありますが、みなさんはどうでしょうか?

 

「空気の研究」から

「空気支配」の歴史についてひとつの例があげられています。『戦艦大和』のことです。大和の出撃を無謀とする人々には細かいデータや明確な根拠があるのに、出撃を当然とする方の主張にはデータは全くなく、「そうせざるを得なくしている」という「空気」で決められていた、と。今の時代も同じではないでしょうか。例えば、会議を振り返って、「あの時の雰囲気では何も言えなかったでしょう」ということ、ありませんか?その時の空気によって勝手に判断していることなんですけどね。人は根拠のない「空気」に支配されているということだそうです。

 

空気に飲まれる

空気を読むとは「場の雰囲気から状況を推察する」ということ。日本人は空気が読める、とよく言われています。いいところでもあり、悪いところでもあるかな。新型コロナウイルスの時期も多くの方は緊急事態宣言を受けて、自粛を真面目にしていました。「自粛警察」という言葉も生まれましたが、「自粛」の要請に従わないように見える人たちへのバッシング。集団で行動をしていると責任感が麻痺して、異端者を排除するような攻撃的な行動も平気になってしまうのです。これは空気に飲まれている行動です。空気に身を任せると正しいことが 正しいと判断できないことに陥ります。自分では正しいと思っていることが、世の中にとっては悪と捉えられることもあるということを知る必要があるのではないでしょうか。

 

大切なこと

このように空気は悪く働くと非常に怖いものです。私は、ことばにも空気と同じような現象が起こっていると思います。一つのワードにおける認識についてです。伝える側と受け取り側での認識が違っていたら伝わっていないのと同じです。例えば「ちゃんと働く」。毎日決まった時間に出社して仕事することだと捉える人もいれば、お金を稼いで働くことだと捉える人もいます。このように、相手はわかっているだろうという勝手な解釈で対話するとお互いに認識がずれてしまいます。そもそも相手は「わからない」ということを前提で話をしなければいけないということです。では、わかってもらうためには何が大切かということ。これに対して自分はこう思っているということをきちんと伝えるということは大切ですが、自分の話を聞いてもらえる人間の関係性を築くことが近道だと思います。そのためには、相手の行動、考え方を知ることからです。そして、相手の立場に立ってお話や提案をするということです。人間関係が成り立った上であれば「空気を読む」という行動は非常に有効的なものになるのではないかと思います。